ナイキのカンボジア体験「カンボジアで出会った人たちとの交流がわたしの原動力になった」

第99回ピースボート「地球一周の船旅」(2018年9月~12月)に参加して、地雷問題検証ツアーでカンボジアを訪問したナイキこと河合由実さんの体験をご紹介します。


はじめまして! 第99回クルーズに乗船してました河合由実(カワイユミ)です。 ピースボートでは「ナイキ」というあだ名で呼ばれています。 ピースボートに乗船する前は、スポーツの専門学校に通っていました。 テニスインストラクターを目指し、毎日テニス漬けの日々。肘を壊してしまいテニスばっかりだった毎日をどう過ごせばいいのかわからなくなり、悩んでいたときにピースボートに出逢いました。

ピースボートならではの不思議なアットホーム感のある雰囲気に惹かれ、名古屋でボランティアスタッフの活動を始めました。そして第99回クルーズで地球一周しました。12月に帰国してからはスタッフとして働いています。

ナイキがカンボジアに行った理由

私がカンボジア地雷問題検証ツアーをとったのは、ボランティアスタッフ時代にやっていたカンボジア地雷除去のための街頭募金活動で、人の暖かさに触れたことがきっかけとなりました。募金をしてくださった方の思いを現地の方に伝えたい、私たちが集めた募金がどう使われているのか確かめたい、そもそも地雷とは何かを知りたい、などたくさんの理由はあります。でも、一番の理由は自分の目で見て感じ、それを伝えていきたいと思ったからです。

地雷被害で脚を失ったウェイクグアンさん

シェムリアップ州立リハビリセンターは地雷被害者やポリオ患者、交通事故などで手足を失った方の義肢装具の作成や歩行訓練を行う施設です。ここで私が話を伺ったウェイクグアンさんの話をしたいと思います。

地雷によって右足と左目を失い、身体中にも地雷の破片による傷がたくさんありました。 カンボジアでは軍隊のリーダーが先陣を切って突撃していくそうで、リーダーだったウェイクグアンさんは地雷を踏み被害に遭ってしまいました。32年前のことですが、今でも踏んだ瞬間は忘れられないとおっしゃっていました。

私は勝手なイメージで地雷被害にあった方々は暗い人生を送っているのかと思っていました。ウェイクグアンさんは義足をつけ自転車のマシンでリハビリしている姿を見せてくださいましたが、義足のため1周こぐたびに足がペダルから外れてしまうんです。そのたびに手で足をペダルに乗せて漕ぐのを繰り返し行っていました。

そのとき、すごく楽しそうに笑顔でリハビリしてたんです。その顔が今でも忘れられなく、直接伺ったわけではないですが、今歩けることに、生きていることに喜びを感じているように思えました。

地球一周から帰ってきて、私は募金活動を再開しましたがこの方との出会いが私を動かしているのだと日々実感しています。

地雷被害者として他の被害者も助けたい

アンコール障がい者協会(以下、AAD)は、地雷被害者を中心とした障がい者の社会的・経済的な自立支援を行う現地のNGOです。AADを作ったのが、セム・ソワンタさん。 この方も、地雷被害に遭われています。

軍のリーダーだった時に地雷を踏みました。脚が吹き飛ばされたことを理解した瞬間に持っていた銃で頭を撃ち自殺しようと考えたそうです。ですが、当時の部下に止められ今も生きていると。だから、自分と同じように地雷被害にあった人や障がいを持ってる人を少しでも支援できたらと思い、この活動をしているそうです。

AADで出会った方はみなさんすごく明るく、私たちを音楽とダンスで迎えて下さいました。ここで出会った少年は、ポリオによって障がいがあり、幼少期は引きこもっていたが、ピースボートが支援している彫刻技術を身につけるトレーニングを受け、今は他の人に教えるまでになったそうです。

今も作業が続く地雷・不発弾除去の現場

カンボジアで地雷・不発弾の除去活動や啓発活動を行なっているカンボジア地雷対策センター(CMAC)が不発弾を除去する現場を見てきました。私たちが現場に着いた10分後くらいに不発弾がみつかりました。その時、私がとても驚いた事があります。その不発弾を爆破位置まで手で運んでいたんです。

防弾チョッキとヘルメットを装着し作業を行っていましたがすべて手作業です。もし地雷や不発弾が爆破してしまった場合、命は守られるのか……そんな不安がよぎりました。そして危険な除去活動をしている人たちは、カンボジアの平均年収の1・5倍から2倍の給料で行っていることに衝撃を受けました。決して充分な金額とは思えませんでした。

なのになぜ、彼らはその仕事を選ぶのだろうかと思い、CMACの方に直接伺いました。CMACの方々は内戦中に兵士だった人も多いそうです。もしかしたら自分たちが埋めてしまった地雷が、今もなお埋まっているのかもしれない。自分たちが埋めた地雷によって被害に遭っているかもしれないという思いからCMAC職員として活動しているそうです。

300メートル離れた場所から爆破作業を見学させていただきました。爆破スイッチには、2つのボタンがついており、片方のボタンを3秒間押すと赤いランプがつき、もう1つのボタンを押すと爆発する仕組みになっています。

カンボジアではこういった除去活動が、毎日どこかしらで行われているそうで、爆破の時のドーーンという重い音がカンボジアの各地で響いているということを考えたとき、やはり恐怖と隣り合わせで生活をしている現実が実際にあるんだと実感しました。

ピースボートが支援した小学校で子どもたちと交流

ピースボートの募金活動で集まった資金を使い地雷を除去した土地に立てたスナハイ小学校では、子たちと交流をしてきました!私たち自身もとっても楽しみました!

そんな子どもたちの笑顔の裏に危険と恐怖もありました。それは、通学路から外れたらそこは地雷原なのです。学校の校舎裏は地雷原なのです。子どもたちに行かないように注意喚起はしていますが、何があるかわらないですよね?すごく危険だと思い、この子たちの本当の笑顔を守るためには、募金活動を続けていく事がとても大切だと改めて感じました。

また、スナハイ村では手を洗う習慣があまりないため、数年前からLUSHの石鹸を届けています。同時に、ピースボートが以前から子どもたちに伝えている手洗いの歌を一緒にやってきました。何人かの子は覚えててくれてとても嬉しかったです!

石鹸を届けるようになって、子どもたちが腹痛を訴える事が減ったそうです。すぐに結果はでなくとも、こういった活動を続けていく事がとても大切だと思っています。

多くの事を学んだツアーだから多くの人に参加してほしい

私は、カンボジア地雷検証ツアーに参加しとても多くのことを学びました。 聞いていたこととのギャップを感じたり、自分の無知さにショックを受けた事もありました。ですが、ツアーを通して知る事が出来ました。今の私に何ができるかは正直まだわかりませんが、まずは募金活動を続けていきたいと思っています。

ピースボートで地球一周する人はぜひこのツアーに参加してほしいです。 自分の目で見て感じることってとっても大切だと思います。 あとは、純粋にカンボジアって言うひとつの素敵な国を知って好きになってほしい! とっても温かく素敵な国です!

私はカンボジアに一緒に行ったメンバーとたくさんの思い出ができました。今度、同窓会はカンボジアでしようねって話しています(笑) 。ぜひこれから船に乗る方はぜひ行ってほしいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

河合由実

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