みこしばのカンボジア体験「カンボジアへ行き人々と出会ったからこそ知った地雷問題」

地雷で作られた象との一枚

第102回ピースボート「地球一周の船旅」(2019年9月~12月)に参加して、地雷問題検証ツアーでカンボジアを訪問した「みこしば」こと榊原匡泰さんの体験をご紹介します。

私たちが支援しているカンボジアの人々に会いたい

私がカンボジアという国に出会い地雷問題を意識するようになったのは、ピースボートセンターなごやで「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」の街頭募金活動に参加した時でした。人見知りで、人前で大きな声を出すのが苦手な私は、仲間のボランティアスタッフにP-MACのユニホームであるオレンジのビブスを着せられ、半ば強引に連れていかれたことを覚えています。

名古屋駅での募金活動の様子

訳の分からないまま、募金箱の裏に貼ってあるセリフを大声で叫んでいました。「あなたの100円でカンボジアの1㎡から地雷を無くすことができます」「カンボジアには400万~600万個の地雷が埋められています」

いざ募金活動をやってみると、たくさんの道行く人々が私たちの思いに答えて、募金をしてくれることに感動しました。はじめは「カンボジアの人達を救いたい」「地雷を無くしたい」というようなカンボジアに対する思いは、ほとんどありませんでした。ただ、仲間との募金活動が楽しく、毎週水曜日、真夏でも真冬でも名古屋駅で、募金活動を続けていました。その中で、カンボジアへの関心が高まっていきました。

しかし、私には心に引っかかっていることがありました。「誰のために募金活動をしているのだろう?」想像することしかできないカンボジアの現状。カンボジアに行ってみたくて、現状が知りたく、人々に会いたくなりました。そして私は、カンボジア地雷問題検証ツアーの存在を知り、参加することを決意しました。

現場に行くことの大切さを実感

カンボジアの風景

カンボジアは、美しく、気持ちの良い風の吹く国でした。カンボジアという国からイメージしていた「地雷」「貧困」「大虐殺」というマイナスな単語とは、全く異なる第一印象でした。そこで起きた悲惨な出来事、厳しい現状を想像させないほどです。ここで、私の心に残っている訪問場所2か所をご紹介します。

リハビリセンターで知った地雷サバイバーの現状

リハビリセンターに通う方にインタビューしたいる様子

1か所目は、障がい者に義足を提供しているリハビリセンターです。ここでのお話で特に印象に残っているのは、新たな「地雷サバイバー(地雷被害に遭いながらも生き延びた人)の減少」です。カンボジアに行く前のイメージの1つに、「地雷の被害が多い国」なんだなというものがありました。P-MACを通じて、名古屋駅の皆さんにその現状を伝えていました。しかしそれは、今のカンボジアの現状とは少し違いました。

1996年には4,320 人の被害者が出ていたカンボジアですが、2018年には58人に減少しました。私たちが訪問したリハビリセンターでは、2008年に地雷被害にあった患者が来ましたが、それ以降は地雷被害による新規の患者はほとんどいませんでした。でも、義足を手に入れたら終わりではなく、その後も修理や部品交換などで通わなければなりません。リハビリセンターを訪れる人のほとんどは、過去に地雷の被害に遭い義足の修理や交換に訪れる人と交通事故によって障がいを負った人でした。このリハビリセンターに通う患者(月150人)のうち6割は地雷サバイバーです。

この話を聞いて、本当の現状はその場に行き、現地の人の話を聞いて、初めて本当の意味で知ることができると私は改めて実感しました。また、カンボジアの保険問題、低賃金や語学の壁による優秀な技術者の不足、交通事故の多さなど、これまで知れなかったカンボジアの様々な問題を知れました。

地雷と隣り合わせで暮らす子どもたちとの出会い

歓迎してくれたスナハイ小学校の先生と子供たち

2カ所目は、ピースボートが地雷除去と建設をしたスナハイ小学校と地雷原です。私は、「誰のために募金活動をしていたのか?」を確かめるために今回のツアーに参加し、この場所でその人たちに会うことができました。

子供たちに折り紙を教えている様子

それは、カンボジアの未来を担う子供たちです。小学校から数十メートルの場所が地雷原、小さな子供だけでの4人乗りバイクで登校しなければならないこと、枯れた井戸、貧困、そんな現状がありながらも子供たちは笑顔で、私たちと遊んでくれたのです。馬や象の折り紙をおってあげた時のあの笑顔。私は、これを守るために募金活動をしていたのかと納得しました。

最近ピースボートの支援で地雷除去をした土地が小学校の裏にありました。そして、道を一本隔てた地雷除去が始まったばかりの地雷原を見学しました。実際に私たちは、作業員と同じヘルメット、防護服を着て、地雷原に足を踏み入れました。

地雷原を見学している様子

しかしそこは、地雷原を示す看板とテープで仕切られているだけで、普通の土地でした。多少の緊張感はありましたが地雷の被害に遭っていない、地雷の被害を目撃していない私には、その恐怖を想像して歩くことしかできませんでした。

地雷原を示す赤い看板とテープ

しかしその後、地雷と不発弾6発の爆破処理に立ちあい、爆音で一瞬頭が真っ白になる感覚、爆風で足がすくわれる感覚を体感し、それが足元で起きていたことの現実に対する恐怖を感じました。

また、私たちが見学する様子が気になったようで、近所の子供たちが自転車で、地雷原の近くまで来ていました。さらに、犬が地雷原の中に入ってきていました。本当に地雷と隣合わせの環境があることを再認識しました。

カンボジアでできた友達の幸せのために

カンボジアの子供たち

今回のツアーを通してカンボジアの過去の出来事、現状を学ぶことができました。そして、ツアーのガイドさん、通訳さん、各訪問地で案内をしていただいた方々、笑顔をくれた子供たち、たくさんの人達に出会うことができました。

このような出会いが本やネットで知るのではなく、現地に訪れることの大切さだと感じました。また、カンボジアの皆さんから、カンボジアに対する愛、願い、決意を受け取りました。

私たちは、地雷被害者や貧困層の当事者になることはできません。自分の幸せや苦しさと他人の幸せや苦しさを比べることはできないし、押し付けてはいけません。自分は自分、他人は他人だからです。

でも、友達の幸せを願うことはできます。幸せだと思ってもらえるように手助けすることができます。でも、何度も言いますが、その時に、自分の幸せを押しつけないように注意が必要です。だから私は、カンボジアの友達が自分たちで幸せを掴めるように、募金を集め続けたいです。

みこしば

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