2023年9月、カンボジアのコーケー遺跡が世界遺産に登録されました!
ここは、ピースボートも地雷除去活動に関わった遺跡です。
カンボジアで4番目の世界遺産となったコーケー遺跡を世界遺産検定保持者のスタッフ、讃井悠介が紹介します。
地雷をなくす活動p-mac1998
2023年9月、カンボジアのコーケー遺跡が世界遺産に登録されました!
ここは、ピースボートも地雷除去活動に関わった遺跡です。
カンボジアで4番目の世界遺産となったコーケー遺跡を世界遺産検定保持者のスタッフ、讃井悠介が紹介します。
どこまでも続く、青空。カンボジアの空は広く、果てしなく広がっていた。
カラッと暑く、すぐに汗が噴き出すような気候ながら、周囲には涼しい風が抜ける森が広がる。
世界遺産アンコール・ワットの街であるシェムリアップから車で2時間ほど走っただろうか。
途中からはのどかな風景が広がり、徐々に舗装されていない道に変わっていった。
密林が広がる村に巨大なピラミッドが出現する。
ここは、928~944年にかけてアンコール朝の王都だった場所。「コーケー」と呼ばれている。
9~15世紀に栄えたアンコール朝の王都はアンコール・ワット周辺に置かれていたが、ジャヤヴァルマン4世だけはコーケーを王都とした。
短期間だった為、「幻の首都」とも言われている。
そのころ建設されたものがコーケー遺跡群として残り、2023年にはカンボジアで4つ目の世界遺産に登録されたのだ。
周囲には、60以上の寺院遺跡が残るとされ、かつてこの地にあった都の大きさを感じることができる。
その中でも注目したいのは、高さ約35m、7層のピラミッド式寺院遺跡「プラサー・トム」。かつて頂上には中央祠堂が建てられていたとされる。
今は手すりなども整備され、急ではあるが頂上まで上がっていくことができる。この頂上から見るカンボジアの農村風景がすごく美しかった。
また周囲には彫刻が美しい貴重なクメール美術の至宝が残る。
残念ながら盗掘や損傷によってかつてのように多く見ることはできない。
それでも世界遺産に登録された理由の一つでもある、コーケー時代が築き上げた重要な美術様式を知ることができる。
コーケー遺跡は、かつてより遺跡マニアには知られる貴重な遺跡だった。
しかし、アンコール・ワットのように一大観光地になることを阻止していたのはこの地域に多くの地雷が埋まっていたから。
数年前までは、人々が安易に訪れることができるような場所ではなかった。
そこから地雷除去活動などが進み、ようやく長年の夢だった世界遺産登録がなされたのだ。
ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACは、長くカンボジアの地雷廃絶のための活動を続けてきた。
このコーケー遺跡やコーケー村の地雷除去にも関わってきた。
2005年にコーケー村で地雷除去や小学校建設を支援した。
また、コーケー遺跡世界遺産登録に向けて、現地の地雷除去団体「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」と協力して、周囲の地雷除去の支援を続けてきた。
この地が世界遺産になったことで、今後多くの観光客がこの場所を訪問するだろう。
この地はこの先どのような歩みを続けていくだろうか。
世界遺産に登録されたこの地に魅了される人が増えることによって新たに生まれてくる問題もあるだろう。
コーケーの意味は、「コー」=「島」、「ケー」=「宝」。
コーケー遺跡は、今後アンコール・ワットに並ぶ、カンボジアの宝になるだろう。
みんなで守っていかなくてはいけない。
讃井悠介