第90回ピースボート「カンボジア地雷問題検証ツアー」報告Vol.1

2015年12月17日に横浜を出航した第90回ピースボート地球一周の船旅で、カンボジア地雷問題検証ツアーの参加者がカンボジアを訪れました。ツアーの様子を参加者の後藤唯さんがレポートしてくれました。その第一弾です。


私たちは、12月25日~12月29日までの5日間にかけてカンボジア地雷検証ツアーに行ってきました。参加者は、若者中心の個性あふれる21人。カンボジアでは現在でも地雷の被害は残っています。今回のツアーでは、過去の出来事を学びながら、現在はどんな問題が起きているのか、実際に現地に足を運び自分の目で見てきました。

キリング・フィールド

最初に訪れたのは、カンボジアのシェムリアップ州にあるキリング・フィールド。キリング・フィールドは1975~79年のポルポト派政権下のカンボジアで大量虐殺が行われた刑場跡です。

カンボジア内戦の歴史について説明を聞きながら、展示された写真や人骨が保管されている慰霊塔を見て、ポルポト政権下でどんな残虐な政治が行われていたのかを学びました。

展示されている写真からは、統一された服装を着せられ、強制労働をさせられている一般市民の様子がうかがえました。また、ポルポトが殺した人間をわざわざ記録として残したものも見ましたが、人間の恐ろしさを感じ言葉を失ってしまいました。

カンボジアにはキリング・フィールドが300カ所以上あり、想像もつかないほど多くの人々が殺されたという事実にも大変悲しくなりました。

アンコール障がい者協会(AAD)

地雷被害者を中心とした障がい者の社会的・経済的自立支援を行う現地NGOです。ここの代表者であるセム・ソワンタ氏は、自ら地雷によって両足を失い生活に困窮しながらも、同じ境遇の多くの地雷被害者たちが病気や飢えなどで亡くなっているのを見て、この団体を設立し、自ら被害者の支援をしてきました。

AADでは障がい者への職業訓練、社会復帰のための精神的なサポート、障がい者の人権問題についての啓発活動を行っています。木工彫刻の技術をトレーニングして販売をしたり、障がい者による伝統楽器の演奏団をつくり、レストランや遺跡などで演奏するなどの活動の他、障がい者の子どもたちへの就学支援など障がい者の社会復帰に向けた支援を行っています。

黒い服の男性がセム・ソワンタ氏

私たちが訪問した際には、日本の歌であるチューリップを演奏をして歓迎してくれました。伝統楽器の音色はとても優しく感じられました。また、AADで作成、販売している木彫りや雑貨品を見ましたが、木彫りは大変高度な技術を駆使した作品であり、雑貨品も丁寧なつくりで手作りのあたたかみの感じられる商品でした。

カンボジア地雷対策センター(CMAC)

ピースボートは地雷除去団体CMACと協力して、カンボジアの地雷除去を進めています。ここではCMACの活動について説明を聞き、地雷や不発弾の実物を見学しました。対人地雷や対戦車地雷など大きさも形も様々な多種類の地雷が展示されていました。

その後、トレーニングセンターに移動して地雷除去の訓練を見学しました。金属探知機を使った作業と地雷探知犬による除去活動を見学させてもらいました。私たちも地雷除去の際に身につける防具を実際に着ましたが、重いと作業ができないということで大事な部分だけを守る軽装備に驚きました。

また、実際に地雷を爆破させる体験も行いました。爆破の威力はすさまじく、数百メートル離れたところでも煙が届くほどです。参加者はみな驚きを隠せない様子でした。

Vol.2に続く

後藤唯

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