「多くの人々が地雷問題を考えるきっかけを作っていきたい」大下圭佑

ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACに関わるスタッフをご紹介します。今回は、「なんだろう地雷出前教室」の講師として地雷問題を伝え続けている大下圭佑です。

大下圭佑 KEISUKE OSHITA(通称:けーすけ)

東京都世田谷区出身。

趣味は野球と麻雀。特に野球が大好き。現在もピースボートの関係者で作る草野球チームに所属してます。プロ野球で応援しているチームは読売ジャイアンツ。また、土日は息子の少年野球チームでお父さんコーチをしています。

好きな言葉は「百聞は一見に如かず」。人から何度も聞くより、一度実際に自分の目で見るほうが確かであり、よくわかる。世界中様々な所へ行き、何度もそう思わされました。

P-MACでは、依頼のあった小中学校へ出向き「なんだろう地雷出前教室」の講師をしています。最近では非対面(主にインターネットなど)で募金を集められる仕組み作りも担当しています。

地雷問題をなくしたくてピースボートへ

初めてピースボートを知ったのは「P-MAC」がきっかけでした。高校時代にテレビで地雷問題を扱った番組を見て、この問題に関心を持ちました。

この番組でカンボジアの地雷問題を扱っており、地雷という兵器のこと、そして地雷原にある学校へ通う子供たちの現状を知って、衝撃を受けました。

当時僕は高校で生徒会に所属しており、同じ番組を見ていた仲間たちと「私たちにも何かできないか。生徒会主催で校内で募金はできないか」などと話し合い、募金活動を始めました。地雷のことをもっと詳しく知りたいと、調べて出てきたのがP-MACのホームページでした。

学校での募金活動は1-2週間ほどで終わりましたが、その後もこの問題のことがずっと引っかかっており、高校3年生の時にピースボートのボランティアスタッフ説明会に参加し、主にP-MACのことを中心に活動するボランティアスタッフになりました。

P-MACもテレビで見たカンボジアを中心に活動していることで、より積極的に関わろうと思いました。

花火大会で街頭募金活動

P-MACは「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」という、地雷除去のための資金を集める街頭募金活動をしています。

僕がボランティアスタッフをしていた2004年から2005年にかけて、都内様々な場所で街頭募金をしました。人通りは少ないけど反応が温かい駅、人通りは多いけどみんな急ぎ足な駅、色々な街の駅前で行いました。

その中でも、一番印象に残っているのは「神宮花火大会」が開催される日に最寄りの千駄ヶ谷駅前で街頭募金をしたこと。

せっかくだし楽しもう、とみんなで浴衣を着て活動して、終わった後には花火大会も見に行きました。

人通りは多かったですが、多すぎてやや混乱した中での募金活動でしたが、とても印象に残ってます。

カンボジアに行って地雷被害が続いていることを実感

初めてカンボジアに行ったのは2005年です。

フルーツが氷漬けされた飲み物を飲んで起き上がれなくなるくらいお腹を壊したこと(カンボジアはすごく暑いので我慢できず、生水を凍らせた氷を食べてしまいました…)というのも強烈な印象です(笑)が、何より市場などの「生活圏」に義足を付けた地雷の被害者がいたこと、そしてそれが街の一部となっていたことが衝撃でした。

普段日本で生活をしていて、街中で地雷の被害者に会うことはまずありませんが、カンボジアの街にはそういう方がたくさんいて、「普通に生活している」のをカンボジアに到着した日に目の当たりにしました。

そうして生活をしている人の中には30-40年前の戦時中に被害に遭われた方もたくさんいらっしゃいました。一方で、農村部の救急病院に行くと、2-3日前に被害に遭ったという方にも出会いました。

カンボジアに埋められている地雷は1970-80年代におきた内戦時代に使われたものがほとんどです。地雷の被害は本当に息が長い、スローモーションでずっと続いているというのを実感しました。

地雷除去の現場

地雷除去現場を歩く。赤いテープの外は地雷原

実際に地雷除去をしている現場に行った時はとても緊張しました。ここは地雷除去が終わったエリア、と言われてもそこを歩くのが怖いと思いました。地雷除去員がつけている防具も付けさせてもらいましたが、とても重く、暑かったです。

地雷除去員と同じ装備を体験

除去現場ではこの数日間に見つかった地雷の爆破処理作業も見学しました。遠くで爆破させているにも関わらず、大きな爆発音と爆風が来たのに驚きました。

日本で生活していて「爆発」を経験することは無いので、何百メートルも先から爆風が来るというのは全く想像がついてませんでした。

僕たちが集めた募金で完成したカンボジアの小学校

次にカンボジアへ行ったのは2007年。僕がボランティアスタッフの時に集めていた募金によって、地雷除去と学校建設が終了したコーケー村の小学校を訪れました。

村にはまだ地雷が埋まっている。除去団体による地雷の危険についての授業を見学
子どもたちと一緒にピースボートが寄付した井戸の建設作業を見守る

自分が関わった小学校で、実際に元気に通う子供たちを見て活動の実感を得たと同時に、こうやって安心して通える学校をもっと作っていきたいと思いました。

地雷を使わせない、使われたものは取り除いていくことが大切

2007年カンボジア訪問時の地雷被害者へのインタビュー。帰国後に地雷問題を伝えるための動画を作成した

世界には紛争、貧困、飢餓、差別などなど様々な問題があります。地雷問題もその一つですが、地雷は一度使われてしまったら誰かが踏むか除去をするまで半永久的にその効力を持ちます。

そのため、現在地雷の被害に遭っているのは戦争や紛争が終わり平和に暮らしている一般市民がほとんどです。

使われてしまった地雷を除去するのは本当に大変な作業です。なので使われてしまった後のことを考えるのではなく、使われないようにすることが地雷問題を解決する一つの方法です。

P-MACで行っている「なんだろう地雷出前教室」は、地雷問題を周知することで地雷の悲惨さを広めています。「使ってはいけない」という声を世界中に広げていく活動です。

中学校で「なんだろう地雷出前教室」

そしてもう一つ、既に使われてしまった地雷をどう除去していくか。

これは、資金があれば除去できる環境が整っているという国が多くあります。ここを支えるのが街頭募金です。

カンボジアにおいても同様で、カンボジアでは1㎡あたりの地雷原から地雷を除去するのにかかる費用は約100円です。たった100円で、地雷原を確実にクリーンにできます。

今は「蛇口から水が出ていて床が水浸し」という状態です。なので地雷を使わせないという蛇口を閉める活動、そして水浸しになった床を拭くという地雷除去支援の活動、この両輪を働かせて、地雷のない世界を目指していきたいと思っています。

地雷がない世界をつくっていきたい

「地雷のある世界」と「地雷のない世界」のどちらの方がいいかと聞かれれば、多くの人が「地雷のない世界」の方がいいと言うと思います。

地雷を使いたいと思ってる人と、使ってほしくないと思ってる人…。きっと使ってほしくないと思ってる人の方が多いと思います。それでも、地雷は無くなりません。

「地雷が何か分からない」
「地雷の事よく知らない」
「そんなこと考えたこともない」

そんな人たちが地雷問題のことを考えるきっかけを作れたらと思ってます。

だって僕、地雷がある世界より地雷がない世界の方がいいですから。

大下圭佑 

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