クラスター爆弾の基礎知識(2021年最新版)

ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACは、地雷と同様に多くの市民を傷つけるクラスター爆弾の廃絶を目指しています。ここではクラスター爆弾の特徴や現在の被害状況、世界の動きを紹介しています。

クラスター爆弾の特徴「戦争が終わっても長年続く被害」

クラスター爆弾は、ひとつの容器(親爆弾)の中に数個から何百個もの子爆弾が入った爆弾です。

爆撃機などから投下されると空中で破裂し、子爆弾が広い範囲にばらまかれます。子爆弾の中には金属の破片などが仕組まれており、建物や人の身体を貫いて破壊します。

クラスター爆弾は、広い範囲にばらまかれるため、戦争に直接関係のない人々が被害に遭うことがとても多い兵器です。

クラスター爆弾の被害に遭うと、死亡する確率も高く、命が助かったとしても手や足を失ったり、体中に傷跡が残ったりと、深刻な障がいが残ります。

また、子爆弾は不発弾となって残ることがとても多く、この不発弾は地雷と同じように、半永久的に人々を危険にさらします。戦争が終わった後もクラスター爆弾の被害が絶えません。

子爆弾は鮮やかな色をしているものもあり、子どもたちが興味本位で手をふれてしまい、被害に遭うことも多いです。また、不発弾の処理もたいへん危険な作業で、除去作業員への被害も多く伝えられています。

クラスター爆弾の被害「被害者は子どもをはじめとした一般市民」

親爆弾の中に多くの子爆弾が並んでいるのがわかる

被害者数

クラスター爆弾についての情報を公表している「Cluster Munition Monitor」によると、1960年代以降2020年末までに22,930 人の被害者が報告されています。

クラスター爆弾の被害は他の不発弾との区別がつきにくかったり、記録そのものがないことも多く、全体では56,500~86,500人が被害に遭ったと推測されています。

2020年には360人がクラスター爆弾の被害に遭ったと報告されています。そのうち107人が死亡、242人が負傷しました。残りの11人については不明です。

過去最悪を記録した2016年には、シリアとイエメンでの紛争でクラスター爆弾が使われたことで被害者が急増し、合計971人のクラスター爆弾による被害者が確認されました。その後2017年は289人、2018年は277人、2019年は317人が被害に遭っていて、再び徐々に被害者数が増えています。

2020年に判明している被害者はすべて一般市民で、そのうち126人が子どもです。いかにクラスター爆弾が無差別兵器だということがわかります。

360人のうち、142人はシリアとアゼルバイジャンでクラスター爆弾の攻撃によって被害に遭いました。残りの218人はクラスター爆弾の不発弾による被害者です。また8の国と地域で不発弾による被害者が確認されています。

・クラスター爆弾の攻撃による被害
アゼルバイジャン(107人)
シリア(35人)

・クラスター爆弾の不発弾による被害
シリア(147人)
イラク(31人)
南スーダン(16人)
イエメン(11人)
ラオス(8人)
アフガニスタン(3人)
カンボジア(1人)
ナゴルノ・カラバフ(1人)

クラスター爆弾の埋設国

2021年8月1日現在、29の国と地域でクラスター爆弾が埋設されている、あるいはその可能性があります。

・埋設国と地域(2021年8月1日現在)
アフガニスタン、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、チャド、チリ、ジョージア、ドイツ、イラン、イラク、ラオス、レバノン、リビア、モーリタニア、セルビア、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリア、タジキスタン、ウクライナ、ベトナム、イエメン、コソボ、ナゴルノ・カラバフ、西サハラ

・埋設の可能性がある国
アンゴラ、アルメニア、コンゴ民主共和国

クラスター爆弾の使用

2020年8月から2021年7月の1年間では、シリアでクラスター爆弾が使われました。シリアは2012年以降、クラスター爆弾の使用が続いている唯一の国です。

またナゴルノ・カラバフで、アルメニアとアゼルバイジャンによる紛争の中でもクラスター爆弾が使用されました。

エチオピアでクラスター爆弾が使われたとの疑いがありますが、十分な証拠は見つかっていません。

クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)

子爆弾の一種。様々な形のクラスター爆弾がある

2007年2月、クラスター爆弾の被害に危機感を抱いた各国政府やNGOが、ノルウェイのオスロに集まり会議を開きました。そして、2008年末までにクラスター爆弾禁止条約(通称オスロ条約)を作ることを宣言。

その後、条約作りに賛同する国々が会議を重ね、2008年5月には条約案が完成しました。同年12月3~4日にはオスロで調印式が行われ、日本を含む94カ国が条約に署名しました。

2021年10月末現在、オスロ条約に123カ国が署名し、110ヵ国が批准しています。

オスロ条約の成立には、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)と同様、世界中のNGOが重要な役割を果たしました。クラスター爆弾廃絶を目指す世界中のNGOのネットワークであるクラスター兵器連合(CMC)が世界各地でキャンペーンを展開し、各国政府はクラスター爆弾の廃絶へ動き出しました。

また条約作りにも大きな力を発揮し、その結果、ただの軍縮条約にとどまらない、被害者支援なども盛り込んだ人道的条約が完成しました。

〈クラスター爆弾禁止条約の主な内容〉
・クラスター爆弾の開発、製造、保有、移譲を禁止する
・これまで保有してきたクラスター爆弾を遅くとも8年以内に廃棄処分する
・不発弾となったクラスター爆弾を10年以内に除去する
・被害者に対して、適切な支援を提供する
・条約加盟国である他の国に対しても支援を行う
・未加盟国に対して、条約加盟を働きかける

日本のクラスター爆弾対策

日本は、これまで一度も使用したことはありませんが、クラスター爆弾保有国でした。2008年12月にクラスター爆弾禁止条約に署名し、2009年7月に批准しました。

それまで自衛隊が保有していたクラスター爆弾は2015年2月に廃棄処分が終了しました。日本政府は、条約では規制されない最新式のクラスター爆弾も含めて「今後いかなるクラスター爆弾も導入しない」と明言しました。

また、日本政府はクラスター爆弾の被害者への支援を行い、条約未署名の国々に対しては署名を働きかけていくとしています。

クラスター爆弾に関わる日本の課題

在日米軍が保有するクラスター爆弾

日本はオスロ条約加盟国のため現在はクラスター爆弾を保有していませんが、アメリカはオスロ条約に加盟していません。そのため、在日米軍はクラスター爆弾を保有しています。

日本政府は、在日米軍基地は日本の管轄外だとして米軍のクラスター爆弾使用や保有は禁じられていないと発表しています。沖縄では2010年、アメリカ軍がクラスター爆弾の投下訓練をおこなっていることが明らかになりました。

日本政府は安全保障関連法案の議論の中で、法的には自衛隊の後方支援活動として弾薬を運ぶことは可能で、その中にはクラスター爆弾も含まれるとしています。

クラスター爆弾を製造する企業への投融資

2010年、全国銀行協会はクラスター爆弾製造そのものを目的とした銀行融資を禁止しました。

一方、2017年5月にクラスター爆弾製造企業への投融資についての調査結果が発表され、日本はオスロ条約の加盟国の中では最も多い4つの金融機関が投融資していることが判明し、金額も加盟国の中で最大でした。

2017年12月、すべての金融機関が、目的にかかわらず製造企業への投融資を禁止するよう方針を変更しました。

2017年、国民の年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」がクラスター爆弾製造企業の株式を保有していることが明らかになりました。

※オスロ条約の第一条には「この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助、奨励し、又は勧誘すること」をおこなってはならないと書かれています。そのため、クラスター爆弾廃絶を目指す世界中のNGOのネットワークであるクラスター兵器連合(CMC)は、クラスター爆弾製造企業への投融資も禁止されていると判断し、投融資をなくすための活動をおこなっています。すでに法律により投融資を禁止した国もあります。

参考: 「Cluster Munition Monitor 2021」 クラスター兵器連合(CMC)発行

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