平和へと動きだした韓国と北朝鮮
4月27日、韓国と北朝鮮による南北首脳会談が板門店でおこなわれました。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が手を取り合いながら軍事境界線を越える映像は両国の平和に向けた動きを印象づけました。そして、朝鮮戦争の終戦に向けて動き出すことが宣言され、世界に衝撃と歓喜の声が響きました。
6月12日には朝鮮半島の核問題をめぐる米朝首脳会談がおこなわれようとしています。決して簡単に解決する問題ではありませんが、朝鮮半島の平和と非核化に向けて、世界が大きく動きだしています。
世界でもっとも多く地雷が埋められている朝鮮半島
(板門店。青い建物の中央をとおって横に伸びている線が軍事境界線。両国の兵士が警備についている)
朝鮮戦争はこれまで休戦状態が続いています。そのため、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線から互いの国に2km入ったところまでが非武装地帯と呼ばれ、多くの地雷が埋められています。ここは世界で最も地雷が埋められているエリアです。
(韓国の地雷原をあらわす看板)
韓国側の非武装地帯には97万個、その他の地域や軍施設の周辺も含めると約100万個の地雷が埋められています。朝鮮戦争が始まったころから現在までに地雷被害者は数千人いると推測されていますが、韓国政府は長年地雷被害者の存在を認めず、調査も十分に行われなかったため、詳細な被害者数はわかりません。
北朝鮮については詳細な情報はありませんが、多くの地雷が埋まっていると思われます。北朝鮮製の地雷による被害が韓国でも報告されています。これは、洪水によって北朝鮮側に埋まっていた地雷が韓国に流れ着いたために起きる事故です。
今も地雷被害が続いています
1999~2016年までに韓国で判明した被害者数は92人でそのうち25人が兵士(米軍兵士1人含む)です。2015年8月には非武装地帯の韓国側をパトロールしていた2人の兵士が地雷事故にあいました。調査の結果、爆発したのは北朝鮮製の地雷で、北朝鮮によって最近埋められたものであることが判明しました。
(洪水で北朝鮮から地雷が流れ着くことも)
それ以外、つまり被害者の多くは民間人です。非武装地帯や軍施設の周辺、また洪水で流れてくるために川や海岸付近でも地雷被害がおきています。2016年には4人の被害者が報告されていて、今でも毎年数人が被害にあっています。
韓国、北朝鮮、アメリカのオタワ条約加盟に向けて
韓国と北朝鮮は対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)に加盟していません。戦争が終わっていない両国にとって、地雷は必要な兵器だと認識されています。そして、同じく非加盟国で韓国の同盟国であるアメリカは朝鮮半島での地雷使用のためにオタワ条約へは加盟できないと言い続けています。朝鮮半島の平和の実現は、この3つの国が地雷を放棄する大きなきっかけになるはずです。
朝鮮半島で、地雷の脅威なく人々が行き来できる未来が実現することを願います。
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