年間85人の地雷除去員が被害に遭っています

こんにちは。ピースボートの森田幸子です。

つい最近ラオスであった不発弾事故の記事が目に留まりました。被害に遭ったのは、不発弾除去員でした。

残念ながら、地雷や不発弾の除去活動中の事故は決してめずらしいものではありません。

今回のブログは、除去現場の事故についてです。

ラオスで不発弾除去中に爆発事故が発生

12月3日、ラオス南部で不発弾の除去活動中に痛ましい事故が起きました。

ラオスには、ベトナム戦争中に米軍によって多くの爆弾が落とされました。それらが不発弾として残り、ラオスは世界で最も不発弾による汚染がひどい国です。

不発弾の多くがクラスター爆弾で、その他の不発弾や地雷も埋まっています。

タイとカンボジアに接するチャムサーパック県にあるコーヒー農園で、除去員が不発弾探知をしていたところ爆発が起きました。

3人の除去員がその場で死亡、2人が病院に運ばれましたが、そのうち1人は重体です。

(下のニュース記事は英語です)

世界で起きている地雷・不発弾除去中の事故

地雷や不発弾の除去活動は、戦後復興には欠かせないものです。今も世界の多くの国で除去活動がおこなわれています。

一方で、除去活動は一歩間違えば地雷や不発弾を爆発させてしまうかもしれない大変危険な作業です。

地雷による被害や各国の地雷廃絶の取り組みを調査している「Landmine Monitor(リンク先は英語のページです)」によると、1999~2016年までに分かっているだけで1,750人以上(死亡者と負傷者を含む)の除去員が被害に遭いました。

最近では、2017年に14ヵ国で60人の除去員が被害に、2018年は7か国で20人、2019年は9か国で23人、2020年は9か国で27人が被害に遭いました。

平均すると1年に85人の除去員が被害に遭っています。

過酷な除去現場

除去員は重いヘルメットや防具を着けて作業をおこないます。場所によっては気温40度以上になる炎天下で活動することもあります。

除去員は適切な訓練を受けていますが、危険な作業なので緊張感を持って慎重に行なう必要があります。

体力も精神力も必要な活動です。

除去活動は、その作業自体がとても難しいものですが、その除去活動がより難しくなるように地雷が埋まっていることもあります。

地雷は地面の上から踏むことで爆発するため、除去するときはスコップなどで真上から力が加わらないようにして掘っていきます。

ななめの方向から棒を差し込んで場所を確認したり、スコップで掘るのですが、地雷自体が土の中で斜めになっていると、結果的に地雷の上部に力が加わって爆発させてしまうこともあります。

大きな対戦車地雷のすぐ近くに小さな対人地雷が埋まっていると、金属探知機が金属を多く含む対戦車地雷に反応して、対人地雷に気づかずに爆発させてしまことがあります。

対戦車地雷の下にも対戦車地雷が埋まっている。カンボジア地雷対策センター(CMAC)の博物館にある模擬地雷原で

1つの地雷の下に複数の地雷を仕掛けることで、下の地雷に気づかないこともあります。

また、クラスター爆弾の不発弾についてはわずかに動いただけでも爆発することがあります。

それでも除去活動が必要です

世界中で、平和を取り戻すために除去活動を続けている人たちがいます。

危険な作業ではありますが、除去活動がなければ地雷や不発弾による被害をなくすことができません。戦後復興を進めることができません。

でも、世界では今も地雷が埋められたり爆弾が落とされたりしています。

1つの地雷を埋めること、1つの爆弾を落とすことで、戦争が終わっても多くの犠牲を生み出しています。

除去活動を進めると同時に、早くこのような兵器が使われないようになってほしいと思います。

森田幸子

cluster-bomb

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