「ランドマインモニター2013」が発表されました。
これはネットワークNGO地雷禁止世界キャンペーン(ICBL)が各国の対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)の加盟状況、地雷被害、地雷の使用、地雷除去の状況などをまとめたもので、年に1回発行されます。「ランドマインモニター2013」は2012年の1年間の報告です。毎年出される報告を確認すると、世界の地雷問題の現状が見えてきます。
対人地雷の生産、使用、保有、輸出入などを禁止したオタワ条約締約国は161ヵ国になりました。ポーランドが2012年に条約を批准して、これでEU加盟国はすべてオタワ条約締約国です。他の地域でもほとんどが締約国なのですが、実はアジア地域がもっとも締約国が少ない地域なのです。そして、アジア地域には地雷問題が深刻な国が多いのも事実。一刻も早く各国がオタワ条約に加盟することを望みます。
世界の多くの国々が条約締約国となった今、条約ができる以前に比べると地雷の使用は激減しましたが、最近も地雷が使われています。「 ランドマインモニター2013」で報告されたのはこちら。
- イエメンは条約締約国であるにも関わらず2011年に政府軍が多くの地雷を使用
- 締約国である南スーダン、スーダン、トルコが地雷使用の疑い
- 条約未締約のシリアとミャンマーが2012年と2013年に政府軍が使用
- ナゴルノ・カラバフ(アゼルバイジャン西部)で2013年に使用
- アフガニスタン、コロンビア、ミャンマー、パキスタン、シリア、タイ、チュニジア、イエメンの非政府武装グループが地雷を使用
2012年の1年間で世界では3,628人が地雷や不発弾の被害に遭っていると報告されました。これは被害者数の調査が始まった1999年以降もっとも少ない被害者数です。それでも1日に10人が被害に遭っています。そして被害者の78%が一般市民、そのうちの半分近くが子どもたちです。
2012年に被害者が多かった国
- アフガニスタン 766人
- コロンビア 496人
- イエメン 263人
- パキスタン 247人
- カンボジア 186人
- イラン 127人
- スーダン 109人
- ミャンマー 106人
- イラク 84人
- インド 78人
2013年10月現在、59ヵ国と4つの地域で地雷が埋められています。またその他の8ヵ国でも地雷が埋設されている疑いがあります。2012年に地雷除去や調査により地雷原でないと確認できた土地は281㎢ありました。24万個の対人地雷と9,300個の対戦車地雷が除去されました。
かつて戦争する人々にとっては安くてとても便利だった地雷は一度埋められると残り続け、今も多くの一般市民を傷つけています。地雷除去や地雷回避教育も重要ですが、これ以上被害が拡大しないためにも一刻も早くすべての国がオタワ条約に加盟して新たな地雷使用をゼロにすることも大切です。そして、なかなか注目されることが少ないですが、増え続ける被害者への支援も重要です。
ランドマインモニター2013はこちらから見ることができます。(英語です)
Landmine Monitor 2013
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