2012年カンボジアの地雷問題

前回は「ランドマインモニター2013」で発表された世界の地雷問題の状況について書きましたが、今回はP-MACが支援を続けているカンボジアの2012年1年間の報告についてです。

カンボジアの地雷被害

2012年1年間で186人が被害に遭いました。被害者数は2010年には286人、2011年には211人と毎年減っていますが、それでも世界で5番目に被害者数が多い国です。

対人地雷の被害者は減ってきていますが、対戦車地雷と不発弾による被害者はこの数年増えています。

  • 対人地雷 29人
  • 対戦車地雷 37人
  • クラスター爆弾 1人
  • その他の不発弾 119人

被害者のうち95%は市民です。

  • 兵士、警察官など 9人
  • 地雷除去員 1人
  • 市民 176人  男性 98人
            女性 27人
            少年 46人
            少女 15人

被害者186人のうち43人が死亡、143人は手足の切断やけがなど負傷しています。

クラスター爆弾による被害者は2010年は17人、2011年は16人でした。1998年からの被害者合計は判明しているだけで191人。ただクラスター爆弾の被害者数の調査はこれまで十分に行われていなかったので、実際にはもっと多いと思われます。クラスター爆弾についてもカンボジアは汚染がもっとも深刻な国の1つです。

2012年にはP-MACが支援を続けているコーケー村(プレアヴィヘア州)の小学校でも不発弾による事故が発生しました。1人の男の子が森で小さな鉄の塊を拾って、学校に持ってきました。その鉄の塊で遊んでいた子どもたちが机にそれを投げた瞬間、爆発しました。爆発で11人の子どもが怪我を負い、そのうち3人は重症でした。

(教室の机には爆発した後が残っています)

先生や大人たちは地雷や不発弾の危険性を日ごろから子どもたちに教え、不発弾がどのような形をしているか模型を使って教える地雷・不発弾回避教育が行なわれていますが、今回は小さな弾頭だったため子ども達も危険なものとわからなかったと思われます。P-MACが地雷除去支援を行い小学校や村の一部は安全な土地になりましたが、まだ周辺には地雷原が残っています。早急な地雷除去と地雷回避教育の徹底が重要だと改めて思わされました。

カンボジアでは判明しているだけで1979年以降64,202人(19,662人死亡、44,540人負傷)が被害に遭っています。

カンボジアの地雷除去

2012年に安全が確認された土地はカンボジア全土で71.46㎢。そのうち64.84㎢の土地では地雷や不発弾の除去がおこなわれ、6.62㎢は調査の結果安全が確認されました。

地雷・不発弾除去がおこなわれた64.84㎢の土地から除去された兵器

  • 対人地雷 20,988個
  • 対戦車地雷 640個
  • クラスター爆弾 1,268個
  • 不発弾 16,908個

対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)では締約国の埋設地雷の除去が義務とされています。また、地雷が埋まっていない国も他国の地雷除去に協力しなければなりません。オタワ条約締約国であるカンボジアは、遅くとも2020年1月1日までには地雷除去を完了しなければなりません。カンボジアでは2010年から2019年までに約650㎢の土地から地雷除去をする必要があります。

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