アジアをめぐるピースボート第97回クルーズがカンボジアに寄港しました。それにあわせて、私たちが支援を続けている地雷除去団体「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」上級センター長のプルム・スオンプラセトさんにご乗船いただきました。そして、寄港時にはカンボジアの歴史と地雷問題を学ぶスタディーツアーを開催しました。
ピースボートが4年ぶり6回目のカンボジア寄港
ピースボート35周年記念の第97回クルーズ(2018年3月7日~4月23日)は、アジアを巡りました。ピースボートは元々、アジアの国々を訪れるために船旅をおこなったのがはじまり。まさにピースボートの原点となる船旅になりました。
ピースボートがはじめてカンボジアを訪問したのはカンボジア内戦も終結していなかった1985年。その後何度かのカンボジア訪問を通して、地雷問題の深刻さを痛感しました。そして、和平合意後に開始された地雷除去の現場も訪れました。危険と隣り合わせの地雷除去作業を続ける人々や四肢を失った多くの被害者との出会いがきっかけで、地雷問題に取り組む人びとを支援し地雷そのものに反対するため、1998年にピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MACを立ちあげました。
第97回クルーズはピースボートにとって6回目のカンボジア寄港となりました。地球一周クルーズでは地形の関係上、なかなか寄港できないカンボジアですが、長年地雷除去や被害者への支援、そしてスタディーツアーの開催と、カンボジアの人々と密接に関わってきた歴史もあり、今回の4年ぶり6回目の寄港は記念すべき訪問となりました。
カンボジアの歴史と地雷問題についての洋上講座
P-MACが1998年の発足当時から行っているのが地雷除去のための募金活動「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」です。集まった募金は「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」に受け渡して、地雷除去がおこなわれます。この募金によって、2017年末までに154万㎡以上の土地の地雷除去が終了し、355個の地雷と542個の不発弾が処理されました。
船がカンボジアに寄港する直前の約1週間、CMAC上級センター長のプルム・スオンプラセトさんにピースボートに乗船していただき、地雷が埋められた背景となるカンボジアの歴史と現在のカンボジアが抱える地雷問題について講演していただきました。
ルーズに参加している多くの方が講演会に参加し、カンボジアの地雷問題について、そしてピースボートがおこなう支援について知っていただくことができました。参加者からは多くの質問があり、プラセトさんも興味を持って熱心に聞いてくれることに感激されていました。船内でおこなった募金活動にも多くの方々にご協力いただきました。
CMACのみなさんにお出迎えいただきました
2018年4月7日、ピースボートがカンボジアのシアヌーク港に入港するとCMACが歓迎セレモニーを開いてくださいました。伝統音楽の楽団とダンスには参加者から大きな拍手がおくられていました。
CMACの方々は本部のある首都プノンペンから5時間かけてピースボートのため港までお越しくださいました。そして、そのまま船内を見学。CMACのみなさんにもピースボートの活動についてより知っていただく機会となりました。
カンボジアの地雷問題を学ぶスタディーツアー
カンボジア寄港中はスタディーツアーも開催しました。参加者はプノンペンに移動し、1975~79年に実験を握ったポル・ポト政権による大虐殺の歴史を学ぶためにトゥールスレン虐殺博物館とキリング・フィールドを訪問しました。
トゥールスレン虐殺博物館はポル・ポト政権時代には刑務所として使われた場所で、政権に反対する人々やその家族など約2万人が収容されました。拷問や尋問を受けた人々は最後にキリング・フィールドへ運ばれ殺されました。
2万人の中で生きてこの刑務所を出ることができたのはわずか7人と言われています。その生存者の1人から当時の体験を話していただきました。
CMAC本部では長官を務めるヘン・ラタナさんにCMACの活動についてお話しいただきました。そして、かつてはカンボジアに埋められCMACが除去した多くの種類の地雷や、地雷除去に必要な道具、除去員が身につける防具などを見学しました。
地雷被害者の状況を知るために2つのNGOを訪問しました。1つは義足の無料支援をしているNGO「Exceed」です。地雷被害者は貧しい生活をしている人が多く、自分で義足を買うことができません。そこでExceedのように無料で支援する団体が全国にあります。
カウンセリングをおこなった後に義足を作成し、きちんと歩けるようになるまで歩行訓練を繰り返す丁寧な活動がおこなわれていました。
そしてもう1つは女性障がい者の職業訓練をおこなうNGO「Cambodian Handicraft Association(CHA)」です。地雷被害者やポリオ患者などの障がいを持つ女性に洋裁や小ビジネスについてのトレーニングをおこなっています。ここで訓練を受ける人々は多くが障がいのために学校へ行けなかったり引きこもりの生活をしていました。CHAでは彼女たちが社会とつながりを持って生きていけるように職業訓練だけでなく心のケアにも力を入れています。
わずか3日間のツアーでしたが、地雷問題について学ぶだけでなく、平和なカンボジアをつくろうと行動する人々に出会い、交流を通して勇気をもらった旅でした。
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