ピースボートVoyage115「カンボジア地雷問題検証ツアー」報告 Vol.3

ピースボート地球一周の船旅 Voyage115 で開催した地雷問題検証ツアーの報告第3弾です。参加者のお一人、かほこさんによるレポートです。

今回はピースボートが支援した小学校を紹介します。アンコールワットのある町・シェムリアップから車で3時間ほど。プレアヴィヘア州に位置するスナハイ村とコーケー村で、地雷除去支援を行なっています。2つの村の小学校もピースボートが地雷除去と建設を支援した場所です。

ツアー報告第1弾はこちらから
ツアー報告第2弾はこちらから

スナハイ小学校

でこぼこ道に揺られながら辿り着いた小学校。この学校は2016年に完成し、現在生徒は207人。3~5歳の幼稚園クラスと、小学校1~6年の小学校クラスがある。

1クラスは大体40人クラスで多いときで70人にもなるのだそう。

学校から遠くに住んでいる子供たちは、5kmの距離を歩いて通っていたり、バイクで送ってもらっていると校長先生から伺った。

話を伺った先生たち

現在の課題は先生の住む場所がないことや水の導線が悪いことであり、先生や児童は苦労しているようだ。

たしかに、ここまでの道も舗装されておらず、インフラ整備は不十分であるし、見たところぽつんと学校がある以外に周りにあまり建物はない。

地雷が長く埋まっていたり、経済的理由から開発できなかったのだろうかと感じさせられた。

また、印象的だったエピソードは、教科書は国から学校へ支給され借りているため無料だが、文房具は自己負担であることである。

そのため、中には買えない児童もおり、その際には担任の先生が自費で援助しているという話であった。

勉強するのにたくさんの壁がある彼らと私自身の勉強を取り巻く環境を対比して、複雑な思いになった。

中学校に進学する児童もあまりいないと聞き、みんな平等に可能性を持てるということの困難さと、それに対してどうアプローチしていくかが課題だと感じた。

多くの人々が農業に従事するカンボジアでは教育が重視されていないのか、通わせたくてもできない事情があるのか。

この現実の背景に何があるのか、もっと知るべきだと感じた。

学校での交流では、児童たちと一緒に昼食を食べて、そのあと外で一緒に遊んだ。

昼食を私たちが児童に配ったのだが、みんなにこにこと手を合わせ「オークン(ありがとう)」と言ってくれて、その笑顔にこちらも自然と笑顔になった。

児童の中には英語を流暢に話す10歳の子もいて驚いたり、裸足の子もたくさんいて考えさせられたりと、やはり複雑な思いとなった。

未就学児であろう弟と来ている女の子はずっと弟を構っていて、ヤングケアラーとして日々自分の時間を費やしてるのだろうと思うと辛かった。

学校敷地内に建てられた新しい校舎

また、ピースボートが支援して建てられた校舎の隣にはつい最近完成した校舎があり、これはEUの支援で建てられたのだと伺った。

ピースボートの地雷除去と学校建設支援がきっかけとなって、他からも支援が入るようになったと考えると、大きな意義があると感じた。

学校建設をする支援や修理を行う支援、必要な施設を増設する支援と様々な形があると感じた。

また学校を1つとっても、地雷除去や学校建設、先生の雇用や住居環境、児童の移動手段や勉強できる環境の整備など様々な要因や課題が絡んでおり、いろんな角度から捉えていく必要があると感じた。

コーケー小学校

続いてコーケー村を訪れた。コーケー小学校もピースボートが地雷除去と学校建設を支援した場所だ。

学校を建てた日本人が来てくれるということで児童は楽しみに待ってくれていたようで私も嬉しく感じた。

子供たちとは教室にあるホワイトボードでお絵かきをしたり、クメール語を書いてくれて模写したりして遊び、時間はあっという間に過ぎていった。

その後に校長と村長からお話を伺った。学校は2005年に設立し、2019年に補修工事を行ったのだそう。

この村は地雷があり、何もできない状態だったが、現在は村民も増えてきて農業もできるようになったと聞いた。

奥に座っているのが校長(左)と村長(右)

地雷除去の結果どうなるのかを間近で見て、日本での募金のその先に除去活動があって、その先にその土地に住むことができるようになり、学校がこうやって建っているという未来を感じることができた。

また、日本語で「みんなのいど」と書かれたピースボートの支援で作られた井戸もあり、ここでも募金のその先を見ることができた。

この学校の課題は、200人以上の生徒がおり、教室が足りないことだと言う。支援というのは、学校を建てて終わりではなく、続く支援や現地の人の力も必要だと感じた。

また、魅力的だと感じたのは朝食提供のシステムである。児童は登校してまず最初に学校で朝食を食べて、その後に朝礼し授業が始まるのだという。

これは、WFP(国連世界食糧計画)からのプロジェクト支援でスタートし、2019年以降は州の事業として続いているようだ。

食事が出るという理由で児童も増えたと聞き、教育へのアクセスへのいい影響もあったのだと感じた。

校長からは「もっといい学校にしたい。安全面を考えるとまだ課題はある」と話された。

次に、村の保健所も見学したが建物だけで中には何もなく、現在はオープンしていないとのことだった。

村長に伺うと、村には今、診療所もない状態で一番近くても10数kmかかるのだそう。

人材と医療設備がないために、黄熱病が学校で流行ったこともあったと聞き、教育も然りだが、医療へのアクセスのたやすさも大きな課題であると感じた。

コーケー村には水道も通っていないが、水提供施設がある。空中から水を作る仕組みで、村民は安価で水を買うことができる。まだカンボジアには5個しかない画期的な施設なのだそう。

スナハイ村のでこぼこ道でも感じたが、コーケー村のインフラ整備も早急に解決すべき課題であると感じた。

おわりに

このツアーは、ピースボートスタッフと私たち参加者の総勢13名で数日間行動を共にした。

ツアーメンバーとは毎晩ミーティングをして、帰船後に行う船内での報告会に向けて計画を進めていった。

その中では、それぞれの感じたことや思い、考えを聞くことで新たな視点を得ることができた。

そして、それぞれの視点や考え方は違えども、想いの行き先はどれもカンボジアの人々に向けられていることを実感した。

船内でのツアー報告会には250名ほどの方が来てくれた

ピースボートセンターでは地雷除去のための募金活動を行っているが、私は乗船前にピースボートセンターには通っていなかったため、船内の報告会での募金活動が初めて参加する機会であった。

報告会終わりに募金してくださる方や声をかけて下さる方がたくさんいて、心の温まる思いがした。

私たちの言葉が届いたと思うと何か少しでも行動を起こすことの意義についても考えさせられた。

下船した今、そしてこれからも私なりにできることを日々考えて、そしてほんの小さなことでも行動を起こしていきたいと思う。

文:かほこ

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