第87回ピースボート「カンボジア地雷問題検証ツアー」報告Vol.1

2015年7月25日、第87回ピースボート地球一周の船旅が帰港しました。クルーズ中の4月21日~26日には、カンボジア地雷問題検証ツアーの参加者がカンボジアを訪れ、地雷被害者との交流や地雷除去支援をする村を訪問しました。ツアーの様子を参加者の大木百代さんがレポートしてくれました。その第一弾です。

トゥールスレン博物館

1975-79年のポルポト政権下ではトゥールスレンを”S21”(SはSecurity Officeの略)と呼ぶそうですが、元は中学校だったところを刑務所に改築し、知識人の情報を得るために拷問がおこなわれた場所です。拷問に耐え切れず自殺者も3名出た経緯があり、逃げ出せないよう敷地や建物は有刺鉄線で囲われていました。S21に収容されて生き残ったのは大人7人と子ども4人のみ。

生存者の1人であるポールさん(当時9歳)からお話を聞きました。ポールさんはポルポト政権になった当初、ようやく戦争が終わったと家族で喜んでいたそうです。病気のお母さんと弟と一緒に、突然目隠しをされバスに乗せられ、何が起こっているのかわからないまま、お母さんとは引き離されました。ポールさんは「お母さんに会うために私は生き延びた」と言います。最後に見たお母さんの姿を今でも忘れられず、お母さんがどうなったか、未だにわかりません。

その後は施設を見学しました。収容されていた子どもも含めた多くの人々の写真や、当時の拷問の様子を描いた絵が展示されていました。捕えられた人たちは人として扱われていなかったとわかる狭い独房や拷問部屋には血や汚物のシミが残っています。拷問具なども残されていました。

2人の生存者が施設内の一部スペースで自伝の本の販売をしてました。日本人だと伝えると、気さくに東京や広島などに行き、講演したことがあると笑顔で話してくれました。証言してくれたポールさん含め、思い出したくもないはずの場所で、誰よりも辛い思いをされているはずなのに、その笑顔はとても優しく、印象深かったです。

キリング・フィールド

トゥールスレンに収容された人達はその後、プノンペン各所にある処刑場(キリング・フィールド)で殺されました。キリングフィールドでは当時の写真が展示されていました。ポルポト政権時代、貨幣や学校・病院は廃止され、知識人は反逆者として抹殺政策がとられました。中学校へ行った人、メガネをかけている人、字を書ける人、本が読める人は「知識人」として抹殺の対象となったそうです。

国民は共同農場に所属して財産はすべて国のものに、全員が黒い綿の農民服を着させられ、子どもたちは5~6歳で親元から離され「国家の子ども」として教育を受けることになります。恋愛は認められず、顔も知らない相手とある日突然結婚させられました。宗教も禁止され、この時代に多くの寺院などが破壊されました。

家族と引き離されたことに抗議したり、家族が死んだことに嘆いたりすると「反革命」として虐殺されました。頭部を鈍器のようなもので殴打されたり首を跳ねられ、大きな穴に集団で埋められました。

小さな子どもはこの木に打ち付けられて殺された

追悼のタワーには、人骨が無数に展示されており、周辺には未だに犠牲者の服や骨などが埋まったままです。キリングフィールドにはポルポト政権が終わった後に遺体が掘り起こされた穴が多く残っています。雨が降ったことで、当時より穴が浅くなってしまったとのことでしたが、さほど大きくはない、人が掘れるくらいの穴に最大300人が埋められていたようで、その数の多さに驚いてしまいました。

トゥールスレン、キリングフィールドはどちらも世界平和を願い、戦争の爪痕を記録するため保存されています。

カンボジアン・ハンディクラフト・アソシエーション(CHA)

CHAはカンボジア人のみで2000年に設立された地雷被害者やポリオ患者などの障がいを持つ女性に職業訓練をするNGO団体です。シルクを使った様々な商品をつくるための縫製技術を教えています。迎えてくれた人たちの笑顔と、たくさん並んだ可愛い雑貨に和まされました。

作業をしている女性たちの中には指のない人や目が見えない人なども見受けられました。英語を話せる人もいて、話をしたり、商品づくりを手伝いました。

突然、作業をしながら女性たちが中島みゆきさんの「糸」という歌を日本語で歌ってくれました。彼女たちのパワーをもらったようで、感動して涙があふれました。すると、私に作業を教えてくれていたメアリーちゃんから「どうして泣いているの?あなたが悲しいと私も悲しい」と言われ、お互い筆記を使いながら、うれし涙だと説明して、スマイルの絵を書きあいました。

過ごした時間はほんのわずかですが、社会復帰を目指して学んでいる彼女達から「生きることとは何か」を教わったような気がします。

Vol.2につづく

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