第95回ピースボート地球一周の船旅でおこなったカンボジア地雷問題検証ツアー、参加者の宮原塁さんによる報告第三弾です。P-MACが地雷除去支援をしている2つの村を訪れました。
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■スナハイ村の子どもたちとの出会い
P-MACが現在支援を行っているスナハイ村を訪れた。この村は2015年より支援を開始し、昨年は地雷原ではなくなった土地に小学校が建設された。その小学校で子どもたちと交流した。
はじめは言葉が通じなくて、こちらが何をしても距離を置かれてしまい大変だったがサッカーやバレーボール、縄跳びなどの運動をし、シャボン玉やお絵かき、折り紙などをして子どもたちとふれあいながら、言葉の壁を越えて交流ができた。
今回私たちはこの小学校を訪れる際に、LUSH(ラッシュジャパン)が提供してくれた石鹸を支援物資として手渡した。そして参加者のみんなでつくった「手洗いの歌」を同時にプレゼントした。
子どもたちも私たちの歌に合わせて声を出し、この場が一体となった。そのあとは実際に手洗いの歌を歌いながらみんなで手を洗った。
ここの子どもたちは、私たちにとっては貧困の環境で暮らしているが、実際に交流をしていくうちに幸せについての価値観は私のほうが貧困だと感じた。
私はものを買い、美味しいものを食べ、空調のついた家で毎日過ごしていても、いま幸せかと問われれば答えることはできない。
しかし社会的にみて貧困である地域で暮らすスナハイ村の子どもたちはとても元気で楽しそうである。本当の幸せを改めて考えさせられた。
■10年で変わる教育環境
つづいて訪れたのはコーケー村の小学校である。2005年に地雷除去と学校建設を支援した場所である。安全な学校ができたことで、今は他のNGOが教育支援している。
この小学校では朝学校にくると朝食を提供してもらえるというシステムがある。おかげで子どもたちの出席率が100%である。集中して勉強ができ、朝食を食べさせることのできない家庭でも栄養をしっかりまかなえる場でもある。また衛生教育や図書館の設置、教員の教育も充実している。
スナハイ村とコーケー村の支援は10年の差だが教育システムに関してかなりの差を感じた。コーケー村の子どもたちは、英語を通じてコミュニケーションをとることができた。スナハイ村でまったくできなかったことだ。
教室内を見ても掛け算のポスターが貼ってあり、英語の単語ポスターもあった。またコウケイ村は州のモデル校にもなっている。10年の違いだけでこの差が生まれることに驚いてしまった。
スナハイ村もそうだがまだまだ支援の行き届いていない村に積極的に支援が必要だと感じた。また人々が自立するための教育も促していかなければならないと感じた。
■アンコールワットの子どもたち
私たちカンボジア地雷検証ツアー一行は、カンボジアの地を去る前に、世界文化遺産のアンコールワットに訪れた。朝6時にもかかわらず多くの観光客でにぎわっていた。その中で私はアンコールワットよりもその場所で働いている人々に興味を抱いた。
子どもたちが観光客に対して一生懸命商売している。学校や普段の生活はどのように過ごしているのだろうと疑問に思ってしまった。また同時に子どもの愛くるしさを使ったキャッチセールスに虚しさを感じた。
生きていくためには子どもを使ってまで稼がなければいけないかもしれないが、この子たちが将来大人になって同じように、自分の子どもに稼がせていたらと思うとぞっとする。私はこの子たちが大人にいいように使われるロボットのように見えてしまった。
当事者にとっては当たり前な日常なのかもしれない。それでもそれを当たり前としてしまう観光客も責任があると感じる。見て見ぬふりを自然と行う。
もし何ができるかと問われれば、私にも分からない。しかしこの現場のことを見たのにも関わらずそのままにしておくのは心が痛む。少しでもこの環境を改善するにはより多くの人にこの環境を当たり前じゃないと関心をもってもらうことだと考える。
■さいごに
私自身このツアーに参加を決める前まではカンボジアのことにも興味なければ地雷のことにも興味がなく、知りもしなかった。
たまたまピースボートセンターでP-MACというものを知り、活動を始めたのがきっかけだった。自分の目で現地を見たい、その気持ちが強くなった。
そして今回、このツアーの参加が決定して実際に現地を見ることができた。
大量虐殺のあったキリングフィールド、地雷の被害に遭った人々の声、被害者の支援とリハビリ、地雷除去の現場、募金の支援先、支援してきた小学校、そしてカンボジアに住む人々、それらを自分の目で見て、耳で聞いて、鼻でにおいをかいで、肌で感じてその場を知るからこそわかるものがあった。
子どもたちの輝く笑顔、地雷の被害に遭ってもそれを乗り越えようとする人々、とにかくカンボジアの人々は笑顔に溢れていた。
どんな環境でも考え方次第で笑顔になれるとカンボジアに教えられた。今回の検証ツアーは私の価値観をぶち壊すいい経験となった。
何事も現場に行かなければわからない。
またこれからも多くの子どもたち、カンボジアに住む人々の未来を思い、支援していきたいと思う。
おわり
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